マーク・ファーブル 9金無垢 デニソンケース 1951年
非常に端正なルックスが光る腕時計。スイスの時計ブランド〈マーク・ファーブル〉が手掛けたもので、同社の特徴がよく表れた一本です。
マーク・ファーブルは、19世紀にスイスのビエンヌで時計師マーク・ファーブルによって設立された時計工房。元はビエンヌの時計製造協会〈ユニオン・オルロジェール(Union Horlogère SA)〉に所属し、自社でムーブメントを開発・製造していた希有な存在で、同社のムーブメントは〈ユニバーサル・ジュネーブ〉や〈アルピナ〉、〈オメガ〉といった名門ブランドが採用していたことでも知られています。とりわけその美しいムーブメントの仕上げは必見ですが、シンプルで均整の取れたハンサムなルックスもマーク・ファーブルの腕時計の大きな特徴のひとつ。とは言え同社の腕時計は残存個体が極めて少なく、当店も過去に取り扱った店数は片手で数えられる程度です。
こちらは英国市場向けに製造されたもので、言わずと知れた英国の高品質ケースメーカー〈デニソン〉が9金のケースを手掛けています。優美な曲線を描くラウンドシェイプと、丸みを帯びたベゼル。クラシカルなフラットクラウン。9金の柔らかな表情と上品なケースデザインが見事にマッチした仕上がりは、他に類を見ません。強すぎず、甘すぎず、アラビア全数字とブルースチール針を用いたクラシックな文字盤デザインも、マーク・ファーブルならでは。ツートーン仕上げとなったレイルウェイインデックス、そして細身のバーハンドを選ぶところにデザイン感度の高さが伺えます。
さらにこの個体は極めて珍しく、文字盤に”MARC FAVRE BIENNE”のオリジナルロゴが配されています。マーク・ファーブル自身のブランドロゴを冠する腕時計は、極めてまれ。この個体の製造年の1951年は、マーク・ファーブルがSSIHに加盟した翌年。あくまで推測ですが、このコングロマリットに加盟したことでこのグループ以外へのムーブメントの供給を禁じられた一方、自社ネームを冠した腕時計の製造は認められたのではないか、その際に生まれた一本なのではないかと考えています。
またこの個体の魅力はそれだけではなく、9金無垢のケースが経年よって美しい夕焼け色に変化している点。クロスで拭けばまた元の金色の輝きが戻るとはいえ、このなんとも言えない複雑な色味もまた格別です。
搭載するCAL.595は、マーク・ファーブル自社製となる稀有なオリジナルムーブメントのスモールセコンドモデル。このムーブメントはユニバーサル・ジュネーブもCAL.260として導入したほか、同じくユニオン・オルロジェール所属であったビエンヌの時計メーカー〈アルピナ〉もマーク・ファーブルからムーブメントの供給を受けるなど、非常に評価の高い機体として知られています。
着用するベルトは、〈アノニム〉が手掛ける英国の伝統的な製法で作られる堅牢なブライドルレザー。英国の老舗タンナー〈クレイトン〉社の独特のシボ感を持つ漆黒の銀面が高級感を醸し出す唯一無二の一本です。
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