J.W.ベンソン ブレゲ針&数字 銀無垢ケース 1923年
英国屈指の老舗時計ブランド〈J.W.ベンソン〉。かつて時計師としてロンドンに工房を持っていたウォッチメーカーであったJ.W.ベンソンですが、第二次大戦中の爆撃で工場を破壊され、戦後は様々なウォッチメーカーに腕時計の製造を委託することでブランドを継続していました。とはいえそのバリエーションは多彩の一言。複数のウォッチメーカーが絡んでいたことから、文字盤はもとよりムーブメントやケースに至るまで、様々なデザインや機構の腕時計が存在します。
こちらは銀無垢製、スリーピース構造でそれぞれがヒンジで連結されたダブルヒンジ仕様という、懐中時計を彷彿とさせるクッションデザイン。さらに当時のクッションケースとしては少々大きめなサイズも相まって存在感が強く感じられる個体です。
文字盤デザインはクラシックなアラビア全数字とスモールセコンド。しかし特筆すべきは、極めて品格の高い文字盤デザインとしてビッグメゾンもそのデザインを拝借するブレゲ数字とブレゲ針を組み合わせた、フルブレゲスタイルです。全体的に極めてオーソドックスなデザインの腕時計ですが、ブレゲスタイルというだけで唯一無二の輝きを放ち始める魅力的な一本。乳白色のポーセリン(陶板製)ダイヤル、そこに美しく映える優美なブルースチール針は、工芸品を思わせるオーラを放っています。
ムーブメントはスイスのシーマ(CYMA)社が手掛けたCAL.216を搭載。各穴石にゴールドシャトンを備え、ブルースチールのブレゲヒゲゼンマイを用いた高級機種で、テンプにはシーマ独自の耐震装置「シーマフレックス(CYMAFLEX)」が装備されています。懐中時計を思わせる三つ指のブリッジがクラシカルな美しさを持ち、エッジ部分にも丁寧な面取りが施された手の込んだ仕上げが印象的です。
またこの腕時計には、1933年12月16日にJ.Stockwellという人物が購入したことを示す当時の保証書と領収書、ベンソン純正のボックス、さらにはA.Stockwellというおそらく血縁者が1995年にこの個体を質屋に販売したと思われる際の鑑定書までが付属します。購入から売却まで丁寧に当時の書類やボックスを取り扱ってくれたおかげで、今日こうして当時の素晴らしい逸品を楽しむことができる、そんなストーリーと共に生きている腕時計といえます。
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