ミドー ”マルチフォート” バンパー式自動巻き 1940年代
〈ミドー〉の代名詞とも言えるベストセラーモデル「マルチフォート」。1934年にリリースされたこのモデルは、防水性、耐震性、対磁性を備えたケースに、自動巻きムーブメントを搭載するものとしては世界初の腕時計でした。その革新性は同時に高いデザイン性を持ち、エルメスが専用のレザーベルトを製作・販売していたほど。今で言うアップルウォッチのような存在だったのかもしれません。
こちらはブラックミラーフィニッシュのダイヤルにカッパーカラーの下地出しインデックスという珍しい仕様となる一本。どちらかというと一般的なゴールドではなくカッパーギルトダイヤルの効果で、より華やかな印象に。センターセコンド仕様のため文字盤外周に複雑で細かいチャプターリングが描かれているため、光を受けてカッパーが輝く面積が多く目に楽しい。夜光塗料を配したアラビア全数字インデックスとペンシルハンド、そしてポインターテールを持つセンター秒針といったミリタリーウォッチを思わせる力強いデザイン性も魅力的です。
オクタゴン型の角形ケースが特に有名なミドーですが、こちらはベゼルに二重のステップを配した重厚なケースデザインを持つ、1930年代から40年代初頭にかけて製造された初期のモデル。文字盤のカッパーギルトに合わせてか、ベゼル部分にもカッパープレートが配されている珍しい個体です。
搭載するムーブメントは、ミドーが当時先駆的に開発したバンパー式自動巻きモデル。全回転式以前のクラシックな自動巻き機構として知らるバンパー式は、ローターが前後に反発して回転効率を上げるためのスプリングが備えられており、バンパーが弾む独特の音や感触が楽しめる味わい深さが魅力。テンプにインカブロックを装備するほか、大振りなバネによる機止めで耐震性に優れた堅牢設計です。
着用するベルトはアノニムのダークブラウン。イタリア・トスカーナで1970年代からフルベジタブルタンニン鞣しに特化するタンナー、コンチェリア800(オットチェント)社が手掛けるバケッタレザーを使用しています。シュリンク工程で生まれる自然なシボが格調高く、また重厚なエイジングが楽しめる一品。
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