J.W.ベンソン 9KYG デニソン アクアタイトケース 1962年
〈J.W.ベンソン〉自体は元々懐中時計を製造していた時計メーカーでしたが、戦後開始した腕時計の製造は、スイスを中心とする時計メーカーに製作を依頼していました。中でも英国の時計メーカー〈スミス〉が製造を手掛けたモデルはデザイン、クオリティともに極めて高いことで知られています。
1940年代末に始まるスミス製のJ.W.ベンソンは、その多くが伝統的にローマ数字をアワーマーカーに採用していますが、こちらは非常に珍しいアラビア数字を採用しています。しかもその書体をよく見ると、いわゆるスミスの初期モデル群に見られる影付きフォントの夜光アラビア数字であることに気づきます。しかもケースは英国が誇る高品質ケースメーカー〈デニソン・ウォッチケース・カンパニー〉が手掛ける防水型のアクアタイトケース。この組み合わせで思い起こされるのは、まさに1953年にエヴェレストの頂上でエドモンド・ヒラリー卿の腕元にあった、スミス・デラックスのアクアタイトモデルです。
cf. ロンドンの科学博物館に展示されているヒラリー卿着用の実物
1950年代末から60年代前半にかけて、スミスは主にクロームプレートケース仕様で「トロピカル(TROPICAL)」のネームを文字盤に記載するウォータープルーフモデルをリリースしていましたが、金無垢で出てきたのはこの個体が初めて。それもヒラリー・エクスペディションモデルと同じ初期のオールアラビアンインデックスダイヤルを備え、まさにエヴェレストモデルを彷彿とさせるタフな仕上がりとなっています。
スミス製のベンソンの腕時計には、通常の15石ではなく16石の受け石を装備したハイエンドなムーブメントが搭載されます。スミスの代名詞とも言える英国製ムーブメントCAL.1215は15石がベースですが、こちらは美しい琉金仕上げや独特のブリッジデザインはそのままに、二番車に大きな受け石を追加。耐震装置付きという点も魅力的。
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