“TRESOR（トレゾア）"という聞き慣れないブランド名ですが、〈アルピナ〉と聞けばピンとくる方もいるかもしれません。アルピナは1883年にスイスのプラン＝レ＝ズゥアトに設立された高級時計メーカー。フレデリック・コンスタントの傘下となった現在でも、人気ウォッチブランドとして知られています。

この〈トレゾア〉はアルピナの手掛けたブランドのひとつで、見てのとおりトノーシェイプとラウンドダイヤルというユニークなデザインを持っています。そして最大の特徴はこの純正のメタルベルト。

ケース側にベルトのジョイント機能を持たせており、画像のようなスイッチで固定します。その構造上、このベルト以外は使用できません。オールステンレススチール製で裏側はメッシュ。実際に腕に着けてみると分かりますが、とにかく着け心地が良いうえに、メタルベルト特有のオッサン臭さがなく、上品でカッコいい。

文字盤はブラックダイヤルにレイルウェイ・インデックスとアラビア全数字が踊るミリタリールック。いい感じに焼けたルミナス塗料が時分針とミニッツレール上に配され、そのシャイニーでクールな全体像とは対照的な力強い雰囲気を放っています。

搭載するキャリバー634は、アルピナがフェルサ社のエボーシュをベースに製造したもの。アルピナらしい質実剛健な仕事が見られる美しさが自慢の一機で、ブリッジをシェイプさせることで露出した歯車や、丁寧に面取りされたエッジのきらめきも見事。