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■知られざる英国製時計メーカー「スミス」
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■エベレスト登頂をきっかけに
スミスの腕時計が初めて世に知られたきっかけは、ジョン・ハント率いる英国のエベレスト遠征隊による1953年5月29日の世界最高峰初登頂と言われています。その際人類で初めてエベレストの頂に立った冒険家エドモンド・ヒラリー卿の腕にあったのが、厳しい環境下でも正確な時間を刻むスミスの「デラックス」でした。
■新型ムーブメントの開発
さらに1958年、スミスは新たに新型ムーブメントを開発します。レイアウトを大幅に刷新し、受け石を19石とした事実上の最高位機種、CAL.1014。このムーブメントを搭載した新たなフラッグモデルが、こちらの「インペリアル」です。ロゴは筆記体に一新された一方、デラックス・シリーズに冠せられていたクラウンロゴはしっかりと継承されています。
■貴重な初期モデル
忘れてはならないのが、スミスが初めて国産腕時計の製造を開始した1947年から、デラックスがリリースされる1951年まで、数年間だけ製造された数少ない初期モデル。 スミスのロゴのみ冠せられたシンプルな文字盤。デラックス以降のスミスの腕時計デザインとは明らかに異なる、プリミティブな表情。「プレ・デラックス」とも呼ばれますが、これを抜きにスミスは語れません。 そのケースはいずれも英国のウォッチケース専業メーカー〈デニソン ・ウォッチケース・カンパニー〉が手掛けており、その後数多くのスミスの腕時計は、このデニソン社がウォッチケースを手掛けることになります。同社はロレックスやオメガといった名門ブランドのケースも数多く手掛けており、ケース専業メーカーの草分けですが、スミスはムーブメントはもとより、ケースまで英国製にこだわった数少ないウォッチメーカーと言えます。 ちなみに「デラックス」シリーズが初めてリリースされた1952年は、この初期型のデザインにDE LUXEのロゴと王冠マークを持つ唯一の年。製造数が極端に少なかったためその姿を見ることはまずありませんが、この超レアモデルも今回入手に成功しました。スミスの腕時計のデザインがダイナミックに移り変わっていく過渡期。
デザインのベースはスミスの腕時計を踏襲しつつ、アレンジが効いているのがスミス製ベンソンの特徴。とりわけローマンインデックスの文字盤はアイコニックで、当時ほとんどのスミス製ベンソンはこのローマンインデックスがモチーフとなります。 英国王室御用達ジュエラーとして名高いガラードも、スミスに別注品を依頼しています。特に有名なのが、デニソン社の名作「アクアタイト」の金無垢モデルを使用したウォータープルーフケースの腕時計。スナップバックに比べずっしりと重量感があり、クラシックなドレスウォッチながら実用性が高いのが特徴です。こちらはデニソン社製アクアタイトケースを装備したゴージャスなモデル。ブリストル、フォードといった自動車関連企業のプレゼンテーションウォッチが目立ちます。
隠れた老舗ジュエラー〈ジェームズ・ウォーカー〉は、スミスの腕時計を取り扱う一方で自社名を冠した腕時計を別注していた珍しいリテイラーのひとつ。こちらは初期型が製造されていた1940年代末頃のものですが、ベンソンとガラード以外のジュエラーはほとんどこの時期、つまりスミスが腕時計の国産製造開始に乗じた形で別注が多かったようです。 オンラインに未掲載のアイテムもございます。ご気軽にお問い合わせください。 |