1930年代製《オイスター・ウォッチ・カンパニー》の腕時計”リプトン"が入荷しています。 オイスター社は、当時英国に存在した時計メーカー。1925年に、スクリュー・ロック式のリューズと金属打ち出し成型のスクリューバックケースを備えた、いわゆる「オイスターケース」を開発したことで知られています。この特許を知ったロレックスの創業者ハンス・ウィルスドルフが、オイスター社を特許を含めまとめて買収し、1926年に完全防水腕時計ケースとしてリリース。自社の代名詞にまで押し上げたことでも有名です。 こちらの"リプトン”はオイスター社の腕時計にしばしば見られるモデルで、いわずとしれた英国の紅茶ブランド《リプトン》の創業者、サー・トーマス・ジョンストン・リプトンに因んだものと言われています。 金属の塊を削り出すことで生まれる厚手で質実剛健なステンレススチールケースや、ねじ込みリューズのユニークなシルエットなど、随所にロレックスを彷彿とさせる意匠が見られます。とりわけハンサムな文字盤デザインは、本家に迫る非常に魅惑的な表情。ツートンダイヤル、レイルウェイ・インデックスや円周といった幾何学性に富んだ文字盤デザイン、立体的なアラビア全数字のエンボスインデックス、ブルースチール針。スモールセコンドはレイルウェイを潰すことなく内周に整然と配され、さらにこれだけのクラシックな意匠群をまとめる絶妙なバランス感覚こそ、この強い引力の源です。 ムーブメントは《チュードル》のメイン機として知られる名機、フォンテンメロン社のCAL.59を搭載。ストライプフィニッシュが施された高級感のある仕上がりです。 オイスター・ケースの重要性は、裏蓋内に刻まれた各国のパテントナンバーも物語っています。また、”OYSTER WATCH CO.”のほか、”R.W.C.LTD(ロレックス・ウォッチ・カンパニーLTD)”の刻印や、ロレックスを頂点とするグループ企業”SAR(ソサエティア・アノニム・ロレックス)”の名が併記されていることから、1940年代前半までそれぞれグループ傘下企業として存在していたことが推測されます。