1950年代の《モバード》の腕時計が入荷しています。 モバードは1881年にアシール・ディテシェイムによってスイスのラ・ショー・ド=フォンに設立された時計工房が始まり。自社一貫生産によるメンテナンスしやすい合理的なムーブメントを製造し、クロノグラフからシンプルな時計に至るまで、”ムーブメントのデパート”と称されるほど卓越した技術力を誇りました。とりわけアンティークでコアな人気があり、デザイン性に優れた腕時計が目立ちます。 こちらは”SPORT”のモデル名が冠されたモデル。モバードの三針時計の代表作「アクヴァティック」とは毛色の異なる、やや大振りで上品なシルエットのラウンドケースが特徴的。経年でうっすらと日焼けした文字盤は、アンティークウォッチならではのエイジングの妙が楽しめます。とりわけキューブ形やクサビ形のインデックスで構成されるシルバーのアワーマーカーが、モダンで上品なルックスを際立たせていますが、外周部に配されたクラシックなレイルウェイ・インデックスによって、モダンになりすぎない絶妙なバランスを保っています。存在感のある大振りなスモールセコンドもポイント。 ケースはフランソワ・ボーゲル(François Borgel)の特許による防水ケースが採用されています。モバードのスポーツモデルに必ずと言ってよいほど採用される時計ケース専業のメーカーで、ねじ込み式の裏蓋を外すと"FB"のイニシャルと鍵のロゴマークが蓋の内側に見られます。 ムーブメントはモバードの三針ムーブメントを代表するCAL.470を搭載。独特の曲線美をもつブリッジのレイアウトに加え、丁寧な面取りが上質感を際立たせる美しいムーブメント。1927年から製造が開始され、出車を加えたセンターセコンドモデルやカレンダー機能を備えたモデルなど、多くの派生機を生んだ傑作機のひとつです。