言わずと知れたビッグメゾン〈オメガ〉。advintageは普通のオメガはまず仕入れることはありませんが、何かしら強いフックを持つ個体であれば話は別。 こちらはオメガが1930年代に初めて投入したセンターセコンドモデル「メディカス」。その名の通り医療従事者向けのコンセプトで、様々なケース・文字盤デザインを持つこのモデルの特徴は何と言っても存在感を放つセントラルセコンドと計器然とした視認性の高いドクターズウォッチです。文字盤外周に60分/秒のレイルウェイに1/5秒チャプターを刻み、ポインターテール付きの秒針によって秒測定の視認性を向上させています。 また独特の曲線美が魅力的なバイセロイシェイプのケースは、分厚いスクリューバックを備えた防水使用。様々なスクリューバックのタイプがありますが、この意匠登録(MODELE DEPOSE)の刻印を持つ裏蓋は、一般的な薄いシート状のステンレススチールをプレスして成型する方法ではなく、塊状のステンレススチールから削り出したもので、オメガの標準的なスナップバックケースと比べると実に2倍の分厚さを持っています。より強い水圧に耐えるために特別に作られた、オメガの中でも特にハイグレードなケースであることは間違いなく、その優美であるながらマッシブなエッジラインにも目を奪われます。 ムーブメントはオメガ初のセンターセコンドムーブメント、CAL.23.4CS。出車追加によるインダイレクト式で、中央の秒カナを抑えるバネが備え付けられています。1940年代の同型モデルと比較して、テンプの受け石がより大振りなのがこちらの1930年代機の特徴です。CSは「Central Second」を意味し、医師が患者の心拍を60秒間計るのに適していることから、「キャリバー・メディカス」とも呼ばれています。 着用するベルトは〈アノニム(anonym)〉のブリティッシュグリーン。英国で1860年創業という長い歴史を持つタンナー〈J.ベイカー〉社のブライドルレザーを使用しています。同社のブライドルレザーはオークバーグの皮から抽出するタンニンエキスを用い、1枚の皮に1年半という非常に長い時間をかけるという、2000年前と変わらない製法にこだわるユニークな存在で、重厚かつしなやか、それでいてモチモチとした質感が病みつきになります。