言わずと知れたビッグメゾン〈オメガ〉。advintageは普通のオメガはまず仕入れることはありませんが、何かしら強いフックを持つ個体であれば話は別。 こちらは主に英国領インド政府におけるシヴィルサーヴァント、つまり現地公務員向けに支給された腕時計。ミリタリーユースも考慮した防水性・防塵性の高い堅牢なツーピースケースが採用されています。裏蓋の"C.S.(I)”という刻印は、その役職を意味する”Civil Service in India”の略で、タフな仕様でありながらドレッシーなルックスを持ち合わせているのが同モデルの特徴です。 レイルウェイとアラビア数字を貴重とする極めてオーソドックスな文字盤デザインながら、その控えめな数字やフォント、ブルースチールの美しいリーフハンドなど、視認性の高い機能美の中にノーブルな表情が同居するデザイン性を持ち、どこか他のオメガの腕時計とは毛色の異なるユニークなモデルといえます。 搭載されるCAL.26.5というムーブメントは、30mmキャリバー以前にオメガが開発したもの。こちらはその中でも最も初期に製造された個体で、テンプには古い年代の高級機のみに採用された温度補正機構であるバイメタル切りテンプも採用されています。テンプをよく見ると材質の違う2つの金属の二重構造(バイメタル構造)になっており、さらに切り込みが入っているのが分かります。 着用するベルトは〈アノニム(anonym)〉のブリティッシュグリーン。英国で1860年創業という長い歴史を持つタンナー〈J.ベイカー〉社のブライドルレザーを使用しています。同社のブライドルレザーはオークバーグの皮から抽出するタンニンエキスを用い、1枚の皮に1年半という非常に長い時間をかけるという、2000年前と変わらない製法にこだわるユニークな存在で、重厚かつしなやか、それでいてモチモチとした質感が病みつきになります。