英国時計の王道を体現する、〈ガラード〉の腕時計。1957年に英国の老舗タイヤメーカー〈ダンロップ〉の社員の永年勤続表彰で贈られた、いわゆるプレゼンテーションウォッチで、このモデル自体ほぼこの表彰のためだけに1950年代半ばから1960年代半ばまでのおよそ10年間の間に作られたと思われます。製造ロットで文字盤デザインに微妙な違いが見られ、こちらの個体は1957年と比較的古い年代に作られたもので、文字や線が太く力強い印象を受ける仕上がりです。 そもそもガラードはイギリスの由緒ある宝飾品店で、ヴィクトリア女王より「クラウン・ジュエラー」の称号を得て王冠の製造を担った英国王室御用達の宝石商でもあります。自社名を冠した腕時計は、その正統性を象徴するかのようなオーソドックスなデザインが多く、質実剛健な佇まいを見ることが出来ます。 控えめながら力強いゴシックのアラビア数字、クラシカルなレイルウェイ・インデックスに上質なブルースチール針。懐中時計を思わせるノーブルな表情、余計なものを含まない潔いデザイン、コンディションの良さによって際立つ美しさ。ほんのりと日焼けして温もりをまとったホワイトダイヤルは、ヴィンテージウォッチならではの絶妙の味わいを見せています。 そして優美なラウンドシェイプのケースは、英国高級腕時計に多く見られる9カラットの金無垢製。"DENNISON" のロゴと誇らしげな"MADE IN ENGLAND"の刻印が示す通り、英国が誇る高品質ウォッチケースメーカー〈デニソン〉社が手掛けています。 搭載するムーブメントは、スイス・ETA製のCAL.1120。ガラードはJ.W.ベンソンなどのジュエラーと同様、スイス製のムーブメントを仕入れて自社オリジナルの腕時計を製造おり、その供給を主に担っていたのがETAでした。汎用機のイメージがあるETAですが、耐震装置付きで17石、ブルースチールの巻き上げヒゲゼンマイなど、極めてハイグレードな仕様が見られます。
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