かつてスイスに存在したウォッチブランド〈リギ〉が手がけたこちらの腕時計。半回転式の初期型自動巻きムーブメントと、4つビス留めクラムシェルケースを採用した1930年代から40年代の一時期に見られる腕時計の過渡期的な機構が特徴的な一本です。

特に異彩を放つ独特のSSケースのデザインは、名門中の名門〈パテック・フィリップ〉のref.565のアイコン的なケースデザインを踏襲したもの。ベゼルとラグがシームレスに一体化したシルエットは上品かつ質実剛健な力強さを感じさせる一級品の仕上がり。

俗に「クラムシェル」と呼ばれるスクリューバック式以前のユニークな防水構造を持ち、フロントベゼルとバックケースが入れ子となり、「ツバ」付きの風防をゴムパッキンで挟み込んで裏から4本のビスで留めるというユニークな構造です。ウォッチケース専業メーカー〈シュミッツ・フレール（Schmitz Freres）〉社が1936年に特許を取得した、過渡期の防水ケースとして知られています。

文字盤はクラシカルなカッパーダイヤルを採用。夜光アラビア数字インデックスに添えられたリーフハンドによって、スポーティな表情の中に品の良さが伺えます。

ムーブメントは手巻き併用の自動巻きムーブメントを搭載。いわゆるバンパー・オートマティックの半回転式ローターを備えた古式ゆかしいスタイルが魅力的です。

デザインコンシャスでありながら、その堅牢性と機能性で名を馳せるモバードならではの一本。ベルトは天然のヌメ革を採用したadvintageオリジナル。しなやかでナチュラルなヌメ革の魅力を生かし、使い込むことで深まるエイジングが楽しめます。