当時としては異例な35mmという巨大なビッグサイズのケースを纏った〈レクタ〉。全く使用感の見られない新品同様のニューオールドストック、風貌まで当時のオリジナルという、奇跡的なコンディションで入荷しました。

〈レクタ〉は自社ムーブを駆使した質実剛健な腕時計製造で知られ、第二次大戦期のドイツ軍のミリタリーウォッチも手がけていた実力派メーカー。この腕時計もその実力が遺憾なく発揮されています。

大振りなラージケースにルミナス仕様のアラビア全数字インデックスとペンシルハンド。さらに文字盤外周のレイルウェイ・インデックスといった、腕時計に置けるアール・デコ爛熟期の完成度の高い腕時計デザインが特徴で、精悍で質実剛健なミリタリーウォッチを彷彿とさせるデザイン性を持ちながら、どこかドレッシーな存在感すら放つ一本。まさに「用の美」に特化した腕時計の最も基本形であり究極に美しいシンプリシティを体現しています。同時にそのラージサイズと、文字盤に浮かび上がる時分針の、いわゆる「ショーウィンドウ焼け」がこの個体の唯一無二の個性と味わいを際立たせています。

搭載するムーブメントはレクタの自社製となるキャリバー1320。美しい曲線を描くブリッジは丁寧に面取りされ磨き上げられた質実剛健な仕上がりとともに、高級機の代名詞ブレゲヒゲゼンマイを備えた、レクタを代表する名機です。

余談ですが、全く同じモデルのノン・ルミナスモデルも存在しています。こちらは夜光塗料がアラビア数字に盛られていない分、やや大きめのフォントが特徴的となっています。
» RECTA / 35mm LARGE CASE, BIG NUMERALS, NOS 1940'S