知る人ぞ知る英国ロンドンの老舗宝石商〈ブラヴィントンズ〉。第二次世界大戦時には英国陸軍にミリタリーウォッチを供給するなど、時計商社の顔を持ち合わせるユニークな存在です。その腕時計ラインナップはデザイン性の面で多種多様なバリエーションが存在し、ハイクオリティなケース・ムーブメントが使用されています。 こちらはadvintageが過去にセレクトしてきたブラヴィントンズの腕時計の中でも最もユニークな個体と言える一本。その理由は、多くのブラヴィントンズはフォンテンメロン製のエボーシュをベイストする自社キャリバーを用いたモデルがほとんどですが、この個体は英国のウォッチブランド〈トレベックス〉が手掛けたスイス製ムーブメントを搭載している点です。なぜこのブラヴィントンズがトレベックス製であるかという謎の鍵は、この腕時計のケースを手がけた〈ブリティッシュ・ウォッチケース・カンパニー(BWC)〉というケース専業メーカーが持っています。 このトレベックスというブランド、実はBWC社の保有する腕時計ブランドであり、トレベックス名義での腕時計も英国のヴィンテージウォッチ市場で散見されますが、いずれもケースはこのBWC社製が大半を占めており、当然ながら両者は非常に密接な関係を持っていました。そのためおそらくこの個体は、ブラヴィントンズがトレベックス社にOEMで発注された腕時計と推測されます。 1938年というかなり古い時代の腕時計で、その英国製9金無垢ケースは円筒をスライスしたような繊細さと力強さが同居するシリンダースケーススタイル。小振りながらベゼルがやや厚みを帯びており、フラットベゼルの重厚感に近い雰囲気を感じさせる絶妙な作りが特徴です。 文字盤デザインも極めて秀逸。パンプキンカラーの美しい発色が魅力的な文字盤に、これもまた美しく気品漂うブルースチールのテーパードバトン針がセットされた非常にドレッシーなルックス。そしてローマ偶数飛び数字に四角形のインデックスを加えた、ありそうで全然ない唯一無二のアワーマーカーデザインなど、個性とクラシックを高次元で両立する見事なデザイン。 上述したトレベックス製ムーブメントは、1930年代の古いモデルならではの、受け石の固定にゴールドシャトンが施される古典的な装飾が採用されているほか、コート・ド・ジュネーブと呼ばれるストライプフィニッシュが施された美しい仕上がり。 着用するベルトは、当店オリジナルの〈アノニム〉。英国の伝統的な製法で作られる堅牢なブライドルレザーを素材に使用し、英国のナショナルカラーとして知られるグリーンをセレクト。英国の老舗タンナー〈クレイトン〉社の独特のシボ感を持つ銀面が高級感を醸し出します(近日販売予定)。
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