1940年代の〈ロンジン〉の腕時計。裏蓋の三つのオープナーノッチから、イタリア語で「トレ・タケ」とも呼ばれるモデル。そして何より、重厚なステップベゼルを持つボリューミーなラウンドケースが魅力的な一本です。

このケースデザインは1940年代の限られた時期にしか見られないことでも知られる人気の高いデザインで、当然ながら入手困難。金属の塊をくり抜く高い技術力とそれが醸し出す重厚感が最大の魅力です。ケースの素材となる"STAYBRITE（ステイブライト）”とはステンレススチールの一種ですが、当時のものはロジウムが配合された高級品で、独特の硬質感とマットな風合いが魅力的です。

文字盤は、ともに夜光が配されるアラビア全数字インデックスとペンシルハンドというクラシックな出で立ち。ロングテールにポインターを備えたセンター秒針は、クロノグラフを思わせる計器然とした無骨な表情を演出しています。

ムーブメントはコンパクトで美しいオールドロンジンの傑作機、CAL.10Lを搭載。第二次世界大戦中の軍用時計にも採用され、その実力と完成度の高さは折り紙付き。耐震装置には高級ムーブメント御用達の耐震装置、受け石を爪で覆う特徴的なスタイルで知られる「ショックレジスト」を装備しています。

着用するベルトは、当店オリジナルの〈アノニム〉。イタリア・トスカーナ地方の名革ブッテーロに型押しを施した「ドラーロ」を使用。深い経年変化も楽しめるほか、その堅牢性に反して腕に馴染みやすい柔軟性があり、着用感の良さも魅力的。