1940年代製の〈タヴァンヌ〉の腕時計。タヴァンヌというブランド名に聞き覚えがなくても、〈シーマ〉と言われると知っている人も多いかと思います。両者は互いに母体を共有する姉妹ブランドで、タヴァンヌはおもに自社ムーブメントの製造を担っていました。こちらはそのタヴァンヌのロゴマークが与えられた初期の希少な個体で、非常に良いコンディションをキープしています。 ノンポリッシュでエッジの立ち上がりがコンディションの良さを実感させるスクリューバックケース。そのラウンドシェイプは優美な曲線を描き、力強いラグデザインへと流れる〈フランソワ・ボーゲル〉製ケース特有のもの。同社のケースはパテック・フィリップの多くの腕時計にも採用される堅牢なウォータープルーフケースが特徴で、昨今急速にその認知度を上げています。 文字盤は折り重なる幾何学性に溢れたアール・デコスタイルが秀逸。外周部のレイルウェイ・インデックスにおいては、外側の1分毎のトラックと内側の1時間毎のトラックが一体化し、セクターダイヤルを思わせる太いラインで結ばれています。最も重要な1時間毎のトラック部分の表面はシルバーギルトフィニッシュで切り替えているのも見逃せません。テレビ塔に似たユニークな時分針も、力強さを感じさせるタヴァンヌが自社で生み出したオリジナルデザインです。 美しいストライプフィニッシュが施されたムーブメントは、シーマのCAL.032Kb。テンプ受けに取り付けられた大振りな耐震装置は、シーマが開発した「シーマフレックス」です。堅牢なケースにショックブルーフ設計のムーブメントを搭載し、タフな仕上がりとなっています。 ベルトは〈カシス〉によるホーウィン社のクロムエクセルレザーを採用した特別仕様。マットブラウンのボディは肉厚で、共色のステッチがモードな印象。