1940年代にドイツの時計ブランド〈ラコ〉が製造した腕時計。数多くのドイツ軍のミリタリーウォッチを手掛けたラコならではの一本です。 こちらは防水性や耐震性を高めた、当時のスポーツモデル。とは言え、漆黒のブラックギルトダイヤルに夜光塗料を伴ったアラビア全数字やペンシル針、幾何学的なレイルウェイや大振りなアラビア全数字インデックスといった文字盤のデザイン群は同時期のミリタリーウォッチと共通しています。ゴツめの大振りなリューズも、グローブを着用していても操作性を損なわない機能美のひとつ。 分厚いベゼルとケースに比べゴツめのリューズが特徴的なケースは、小振りながら独特のフォルムによる武骨な印象を放っています。またドイツ製らしくスペック表記がすべてドイツ語となっている点も魅力のひとつ。いくつか挙げると、WASSERDICHT「防水」、BRUCHSICHER「耐衝撃」、ANTIMAGNETISCH「耐磁」など。ちなみにスクリューバックの裏蓋に記載された「A⇔Z」とは、AUF「開ける」とZU「閉める」の頭文字で、開閉の方向を示しています。 搭載するムーブメントCAL.410は、ドイツのエボーシュメーカー〈デュローヴェ(DUROWE)〉社製。粒金仕上げのパーツは丁寧に面取りされ、手の込んだ仕事が見てとれる見事な仕上がりが魅力的で、耐震装置インカブロックも備えた質実剛健な一機です。デュローヴェは1920年代に、ラコと同じくドイツのプフォルツハイムで創業したドイツでも珍しいエボーシュ専業メーカーで、その名は”Deutsche Uhren Roh Werke(ドイツ時計エボーシュ)”を縮めて名付けられています。