〈デルコーナ〉というブランド。ドイツの宝飾品工業の中心地として多くのジャーマン・ウォッチメーカーが本拠地を置いた、プフォルツハイムに存在したブルクハルト社(Burkhardt & Co)が1932年に発表したブランドです。 といってもピンとくる人はほぼいないでしょう。大事なのはそこじゃなく、ジャーマンウォッチならではと言えるこのユニークなケースシェイプと、どこか愛嬌すら感じる文字盤デザイン。プリミティブな魅力に包まれたメイド・イン・ジャーマニーは、その唯一無二の存在感こそが真骨頂。 つるんとした独特のシルエットのSSケースは、丸みを帯びた人懐っこいと雰囲気とは裏腹な直線的で力強いラグを持ち、その二面性はアクセサリーデザインとしても極めて秀逸なデザイン。国は違えど、ボンクリップのバンブーチェーンブレスレットとの相性は抜群で、ヴィンテージウォッチの例に漏れず小ぶりなサイズ感から想像を超えるインパクトを放ちます。 アラビア数字とドットで表現されるアワーインデックスと針類は、ブロンズという渋いカラーチョイス。そのフォントもどこか可愛らしい。それでいて、文字盤に躍動するレイルウェイ・インデックスがクラシカルな上品さで引き締めるバランス感覚も絶妙です。 搭載するドイツ製のムーブメントは、おそらくムーブメント製造の子会社と思われる"DELCO"の名を香箱車に冠した自社モデル。16石に増石され、ブリッジ全面にストライプフィニッシュが施されたハイエンドな機械で、受け石にそれぞれゴールド社トンが埋め込まれている点も見逃せません。