聞き慣れないブランドネームには目を瞑りたい。ここまでデザイン性に優れた腕時計は、ブランドで探したらまず見つからない、1930年代の腕時計。 アール・デコの様式美を体現する直線と平面のみからなる多面体のオクタゴナルケース。そこに丸く空いた文字盤。ケースだけでもゾクゾクきます。 その文字盤は、クリスクロスと呼ばれる斜め十字にツートーンフィニッシュ。光の差し込み方を変えると刻々と変化して、トーンの濃い部分と白い部分とが入れ替わります。アラビア全数字の夜光インデックスや針、スモールセコンドのクラシカルなスタイルも堪らない。このクリスクロス文字盤、実は同時代のロレックスにも散見される由緒正しいスタイルです。 堅牢なSSケースを手掛けたのは、防水ケースの大家〈フランソワ・ボーゲル〉のいわゆる"FBケース"。直線が強調されるデザインに加え、ノンポリッシュゆえ切り立ったエッジが一層力強い存在感を際立たせます。とにかく美しい腕時計。 さらにその美しさは内部のムーブメントにも妥協は見られません。ブリッジ全体に施されたコート・ド・ジュネーブのストライプフィニッシュ、パーツエッジの丁寧な面取りなど、高級時計に見られるハイエンドな仕上げが随所に。耐震装置もユニークなものが採用されています。 着用するベルトは、当店オリジナルの〈アノニム〉。手揉み加工を施したイタリアンシュリンクレザーを素材に使用しています。オイルをたっぷりと含んでいるためしなやかでしっとりとした質感があり、使い込むうちに味わいのある風合いとなります。 » "anonym" LEATHER BELT (ITALIAN SHRINK / GRAY)