1940年代に発表された〈ハーヴェル〉の腕時計が、こちらの「セルフ・オー・マティック」。ハーヴェルは当時米国に存在した腕時計メーカーで、主にスイスから半完成の時計ムーブメントを輸入し米国国内で組み立てを行い腕時計を完成させるという、当時世界一の腕時計市場であった米国ならではの方式を取り入れていました。 こちらの腕時計は、ハーヴェルが手がけた腕時計の中でも最も有名なモデルで、当時はまだ目新しかった自動巻き機構を持つ機械式ムーブメントを搭載しています。半回転するローターが内蔵したバネを利用して前後に動作することでゼンマイを巻き上げることから、バンパーオートマティックと呼ばれます。 何よりこの腕時計を特徴づけるのが、渋いグレーの文字盤の外周部、ホワイトエナメルで配されたミニッツインデックス。ダイヤルの上に白釉薬を盛り焼成したもので、高い技術とコストがかけられた美しい仕上げ。リーフ型の時分針および秒針にも同様の仕上げが施されており、それは見た目の美しさだけでなく、コントラストを際立たせることで視認性を高める実用性にも一役買っているのです。控えめに配されたローマ全数字インデックスのサイズバランスも絶妙で、このホワイトエナメルの配色を邪魔せず、かつ上品な佇まいを生んでいます。 ケースはオールステンレススチール。ウォッチケース専業メーカー〈シュミッツ・フレール(Schmitz Freres)〉社製で、堅牢なスクリューバック式の防水構造を備えつつ、肉厚でボリューム感を備えています。搭載するムーブメントはバンパー式の自動巻きムーブメント。耐震装置付きという点も魅力的です。 着用するベルトは、当店オリジナルの〈アノニム〉。自然な細かいシボが印象的なイタリアンシュリンクレザーを素材に使用しています。オイルをたっぷりと含んでいるためしなやかでしっとりとした質感があり、使い込むうちに味わいのある風合いとなります。