1940年代は、各社自動巻きムーブメントを搭載した腕時計を開発し、生活のあらゆる場面でその実用性を実証する時代でした。その中で注目に値するのが、このグリュエンの「オート・ワインド」。1947年からリリースされたグリュエンの自動巻き腕時計のシリーズで、こちらのモデルはその最初期にリリースされた貴重なファーストモデルのひとつです。 裏蓋だけでなくケース全面にステンレススチールを採用した質実剛健なラウンドケースは、スクリューバック式の防水仕様という心強いタフネス。裏蓋が膨らみ、分厚くなったシルエットは、ロレックスのバブルバックを思わせる重厚な存在感を演出しています。足が長く力強いラグデザインも非常に印象的です。 文字盤は独特の揺らぎを持ったエイジングが見られる芸術的な風合いを持つトロピカルダイヤル。四方のメジャーインデックスをアラビア数字、その間にキューブ型のインデックスを挟むという、ありそうでなかなかないグラフィカルなデザインも個性を放っています。 ムーブメントは自動巻きムーブメントの初期型と言われる半回転する重りを備えたバンパー(ハンマー)式オートマティックモデル、CAL.480SSを搭載。”SS”とは「スウィープセコンド(Sweep Second)」の略で、センター秒針モデルを意味しています。こちらはブルースチールのブレゲヒゲゼンマイが採用された高級機で、テンプには耐震装置インカブロックを装備しています。ケース内部に軟鉄製のキャップを装備しているのもポイント。 着用するベルトは、当店オリジナルの〈アノニム〉。イタリア・トスカーナ地方の名革《ブッテーロ》を使用しています。深い経年変化も楽しめるほか、腕に馴染みやすくその着用感の良さも魅力的です。