19世紀に生まれた由緒あるウォッチメーカーとして、現在もその歴史を刻み続ける数少ないブランド〈サーチナ〉が1940年代に手掛けた腕時計。 こちらは当時英国市場向けに企画された個体で、英国王室も愛用したことから「ロイヤルゴールド」と呼ばれる9金無垢のゴールドケースを採用したモデル。英国市場に合わせた普遍性の強いデザインコンセプトに加え、サーチナの旧ロゴである筆記体ロゴを使用した非常に貴重な一本です。 やや大振りなアラビア数字は力強く、細身とは言え質実剛健さが際立つブルースチールの時分針とともにホワイトダイヤルに映えています。アール・デコの影響が色濃い当時のデザイン潮流は、文字盤外周のレイルウェイ・インデックスにも表れています。ケースベゼルが非常に薄く作られているため文字盤の面積が最大化され、その存在感は一層大きく強調されています。ケースを手掛けたのは、やはり、と言うべき英国のウォッチケース製造の名門〈デニソン〉社。 搭載するムーブメントは、サーティナの自社モデルCAL.320。併記されている”K.F.”とは、サーチナの前身であるクルト兄弟の工房”Kurth Frères”の頭文字をとったもの。自社でムーブメントの製造を行うサーチナらしい、合理的な設計と肉厚なパーツから成る質実剛健な機械です。 着用するベルトは、自然な細かいシボが印象的なイタリアンシュリンクレザーを採用したadvintageオリジナル。オイルをたっぷりと含んでおり、しなやかでしっとりとした質感があります。使い込むうちに光沢が増し、味わいのある風合いとなります。