1880年に、ロンドンのリージェント・ストリートで創業した老舗ジュエラー〈ゴールドスミス&シルバースミス〉が手掛けた腕時計。 金銀製品や、ダイヤモンドをはじめとした各種宝石類、アクセサリー関連アイテムを販売していた宝飾品店が、自社名を冠した腕時計を作ることは当時ポピュラーで、英国では特にジュエラーズウォッチと呼ばれ上品かつ様々なバリエーションを持つ魅力的なジャンルです。 こちらはクッションシェイプの金無垢ケースを採用したドレッシーな一本。ユニークなのが、一般的なクッションケースはもう少し角がマイルドに丸みを帯びているのに対し、このケースは角張っている点。このようなタイプは他にあまり類を見ないレアなスタイルで、クッションシェイプ特有の、やや愛らしい表情よりはむしろ、力強く精錬とした美しさを感じます。 文字盤デザインは、ミニッツインデックスをアワーマーカーの内側に配したクラシックなスタイル。その内と外とでテクスチャーの仕上げを切り替え、ツートーンダイヤルを作っている点は英国時計に多く見られる伝統的な手法です。アラビア数字とバレット(銃弾)形インデックスというインパクトのあるアワーマーカーも特徴的で、アラビア数字は夜光で、バレットは立体的なエンボス仕上げという非常に手の込んだ造形が見られます。どこかミリタリーテイストの漂う雰囲気は、どうやらこれらのディテールが醸し出しているようです。 ムーブメントはETAのCAL.1120をベースに、オメガを思わせる美しい赤銅色のメッキにコート・ド・ジュネーブ装飾が仕上げられたハイエンドモデルを搭載。耐震装置付きという点も見逃せません。投げ込み式のケース構造のため、通常のスナップバックケースよりも幾分防塵性に優れています。 着用するベルトは、自然な細かいシボが印象的なイタリアンシュリンクレザーを採用したadvintageオリジナル。オイルをたっぷりと含んでおり、しなやかでしっとりとした質感があります。使い込むうちに光沢が増し、味わいのある風合いとなります。