1940年代に、〈テル〉というウォッチブランドによって製造された腕時計。ほとんど使用感のない、デッドストックのコンディションで入荷しました。 樽形のケースシェイプにラウンド形の文字盤。ロレックスのアイコニックなケースで知られるバイセロイケースに身を包んだこちらの腕時計。レクタングルケースの力強さとエレガンス、そしてラウンドケースの普遍性を併せ持った 魅力あふれる一本。ロレックスのオイスターケースを思わせる、ボリューミーなリューズもまたニクい。 ドレッシーなスタイルながら、ねじ込み式の堅牢なケース構造とともに、ミリタリーウォッチを思わせる夜光塗料がふんだんに用いられた力強い文字盤デザインが魅力的です。大振りなアラビア全数字インデックス、レイルウェイインデックスといった古典的なディテールもさることながら、コブラハンドと呼ばれるユニークな時分針が個性を際立たせています。 テルは製造本数は少ないものの、1920年代から50年代にかけて様々なバリエーションの腕時計を製造していた、典型的なエタブリスール。決して誰もが知るブランドではありませんが、この優れたウォッチケースにハンサムな文字盤デザイン。ブランドバリューは全く別の次元に置き去りにしていることは、言うまでもありません。 ケースに見られる”LL”の刻印は、おそらくこのケースを手掛けたウォッチケースメーカーのロゴと思われます。このメーカーのケースは同様にバイセロイケースの防水ケースで確認されていますが、いずれもケース側ではなくムーブメントに纏わせた中胴にネジ山が切られ、直接ムーブメントを密閉するオイスターケースと同様の防水構造を採用しているのが特徴です。