やや小ぶりながら愛嬌のある小太りのラウンドケース。多面カッティングが施されたストレートシルエットのラグ。フランソワ・ボーゲル(François Borgel)社の防水ケースの中でも珍しいデザインを持つステンレススチールのケースを纏ったこちらのモバード。 ”SPORT”のペットネームが示すように、当時スポーツを中心とするアクティブな着用環境を想定したタフな一本と言えます。ちなみに裏蓋の刻印”C.S.(I)”は”Civil Service in India”を意味しており、「インド高等文官」と呼ばれる高級官僚に与えられた個体と思われます。 幾何学的なデザイン性を見せる文字盤は、アール・デコの影響を色濃く残す1940年代の時計文字盤デザインの中でも特に優れたハンサムなルックス。先端を鋭く仕上げられた細身の時分針は、繊細な点と線が織りなす文字盤のインデックスと見事にマッチしています。時間を示すアワーマーカーはアラビア数字とラインで表現され、外周部のミニッツインデックスはドット。そしてスモールセコンドはレイルウェイ・スタイルと、それぞれの時間が全て異なるデザインで表現されるという、秀逸なアイディアも見事です。角度を変えると刻々と色合いが変化するツートーン仕上げが施されているのも、この時代の特徴のひとつ。 搭載するムーブメントは、モバードの腕時計用ムーブメントの中でも最も古い部類に入る、CAL.75を搭載。すべての受け石にゴールドシャトンを装備するハイエンドな仕様が魅力的です。 着用するベルトは天然のヌメ革を採用したadvintageオリジナル。しなやかでナチュラルなヌメ革の魅力を生かし、使い込むことで深まるエイジングが楽しめます。