1950年代の〈サーチナ〉の腕時計です。 ブラック&ホワイトのツートーンダイヤル、夜光アラビア数字、ペンシルハンド。誰もがカッコいいと感じる魅力的な意匠をこれでもかと配した一本。文字盤のブラックはミラーフィニッシュが施された、ミリタリーウォッチ特有の文字盤として知られるブラックミラーダイヤル。表面を光沢に仕上げることで、夜光インデックスや針がまるで暗い湖面に浮かび上がるかのように映え、高い視認性を実現しています。やや大振りなステンレススチールのラウンドケースは、ベゼル部分にフラットな段差を配したステップドベゼル。丸みを帯びたラウンドケースに重厚感のあるステップドベゼルという組み合わせは、あまり見かけないユニークなデザインです。 特筆すべきは、ラテン語で「労働」を意味する言葉「LABORA」というペットネーム。SSケース×スクリューバック+インナーキャップという堅牢なケース構造が連想させるタフな使用環境としては、主に「スポーツ(SPORT)」や「海(MARINE, SEA)」などが目立ちますが、あえて「労働」をコンセプトに選んだセンスには脱帽せざるを得ません。 搭載するムーブメントは、サーティナの自社モデルCAL.320。併記されている”K.F.”とは、サーチナの前身であるクルト兄弟の工房”Kurth Frères”の頭文字をとったもの。自社でムーブメントの製造を行うサーチナらしい、合理的な設計と肉厚なパーツから成る質実剛健な機械です。