非常に端正なルックスが光る腕時計。スイスの時計ブランド〈マーク・ファーブル〉が手掛けたもので、同社の特徴がよく表れた一本です。 マーク・ファーブルは、19世紀にスイスのビエンヌで時計師マーク・ファーブルによって設立された時計工房。元はビエンヌの時計製造協会〈ユニオン・オルロジェール(Union Horlogère SA)〉に所属し、自社でムーブメントを開発・製造していた希有な存在で、同社のムーブメントは〈ユニバーサル・ジュネーブ〉や〈アルピナ〉といった名門ブランドが採用していたことでも知られています。とりわけその美しいムーブメントの仕上げは必見ですが、シンプルで均整の取れたハンサムなルックスもマーク・ファーブルの腕時計の大きな特徴のひとつ。とは言え同社の腕時計は残存個体が極めて少なく、当店も過去に取り扱った店数は片手で数えられる程度です。 こちらは英国市場向けに製造されたもので、言わずと知れた英国の高品質ケースメーカー〈デニソン〉が9金のケースを手掛けています。優美な曲線を描くラウンドシェイプと、丸みを帯びたベゼル。クラシカルなフラットクラウン。9金の柔らかな表情と上品なケースデザインが見事にマッチした仕上がりは、他に類を見ません。 強すぎず、甘すぎず、アラビア全数字とブルースチール針を用いたクラシックな文字盤デザインも、マーク・ファーブルならでは。ツートーン仕上げとなったレイルウェイインデックス、そして細身のバーハンドを選ぶところにデザイン感度の高さが伺えます。 搭載するCAL.595は、同じくユニオン・オルロジェール所属であったビエンヌの時計メーカー〈アルピナ〉によるもの。丁寧に面取りされた美しい仕上げは、マーク・ファーブルの真骨頂でもあります。