1930年代の《ラコ》の角形腕時計が入荷しています。 ラコは1925年にフリーダ・ラッハーとルートヴィヒ・フンメルによってドイツのプフォルツハイムに設立された時計メーカー。ブランド名のラコ(LACO)は、Lacher & Co.を縮めたもので、このようなブランドの名付け方はドイツでよく見られます。ドイツ空軍のいわゆるフリーガーウォッチなど軍用時計の製造でも有名で、ジャーマンウォッチらしい無骨なデザインが特徴的なブランドです。 こちらはそのラコらしさが光る、ストイックで力強いレクタングルモデル。質実剛健なオールステンレススチールケースは、よく見ると随所にカッティング仕上げが見られます。このシンプルながら手の込んだケースデザインにより生まれる、多面的な光と影のコントラストがハッとするような気品と高級感の源です。漆黒に光るブラックミラーフィニッシュの文字盤もまた、このケースデザインと相俟って大変魅力的。アラビア全数字とレイルウェイ・インデックスによるアール・デコ様式の文字盤デザインは、武骨なルックスをさらに際立たせています。 搭載するムーブメントCAL.580は、ドイツのエボーシュメーカー《デュローヴェ(DUROWE)》社のキャリバーをベースに、石を追加した16石のオリジナル機。デュローヴェは1920年代に、ラコと同じくドイツのプフォルツハイムで創業したドイツでも珍しいエボーシュ専業メーカーで、その名は”Deutsche Uhren Roh Werke(ドイツ時計エボーシュ)”を縮めたもの。独特の輪列配置やブリッジのレイアウトからは、ドイツ時計マイスターのクラフツマンシップを感じます。ケース構造はベゼルと裏蓋がヒンジで連結された古典的なスタイル。