それなりに長く、そして数多くのスミスを見てきたadvintageですが、ようやく通算2本目となる幻の18金無垢のスミス製腕時計が入荷しました。スミスだけでなく、当時英国市場で流通していた腕時計や懐中時計の金無垢ケースは決まって9金。指輪などのジュエリーを除き、18金の英国時計自体が幻なのです。 こちらはスミスが手掛けた〈J.W.ベンソン〉の腕時計。J.W.ベンソン自体は元々懐中時計を製造していた時計メーカーでしたが、戦後開始した腕時計の製造は、スイスを中心とする時計メーカーに製作を依頼していました。中でもスミスが別注製作したモデルはデザイン・クオリティともに極めて高いことで知られています。 1940年代末に始まるスミス製のJ.W.ベンソン。その代表的なものはローマ数字をアワーマーカーに採用したアール・デコ様式のデザイン性が特徴ですが、こちらは高級感あふれるアプライド仕上げの楔形インデックスとドットインデックスで構成される、モダンで格調高い文字盤デザインを持つ希少種。それらのインデックスはエンボスではなくすべてアプライド(植字)仕上げという手の込みよう。 ケースは当時デニソン社と並んでスミスが数多く採用していた〈BWC(British Watch Case Ltd.)〉が手掛けたもの。”LONDON MADE”の刻印がトレードマークで、他のデラックスに比べケースがやや大振り。ユニークなカッティングが施されたラグデザインは高級機の証です。18金特有のやや黄色みの強い黄金色、高い純度から生まれる重量感は、やはり9金以上の存在感を感じさせます。 ムーブメントはスミスの代名詞として知られる英国製のCAL.1215を搭載。スミス製ベンソンは16石の受け石を持つアップグレードモデルを搭載するのが通例ですが、こちらは18石という最多の石数を誇る最高級機。二番車に加えてガンギ車の受け石を増設し耐久性とメンテナンス性が高められています。耐震装置付きという点も魅力的。