〈ユニバーサル・ジュネーブ〉の手掛けた1930年代頃と思われる角形の腕時計。同社のラインナップでは極めて珍しい一本。 力強くストイックな縦長の直線が強調されるレクタングルケースは、「タンク」と呼ばれた1930年代のヨーロッパで主流のスタイル。しかしながら分厚いベゼル、縦寸43mmを超える規格外の巨大なサイズは異様。また横から見ると手首にフィットするかのように緩やかにカーブしており、いわゆるカーヴェックスのスタイルが踏襲されているのも見逃せません。しかもさりげなく細やかにカッティング施される手の込んだ美しいシルエット。これこそがこの腕時計のハイライトです。 そしてミラーフィニッシュのブラックギルトダイヤルも、秀逸の一言。下地出しで仕上げた繊細なシルバーのバーインデックスとローマ数字が組み合う、シンプルながらモードで普遍的な美を放つ文字盤デザインは、そのロングカーヴェックスとまさしく一体化し、究極的なドレスウォッチへと昇華しているように見えます。 英国のブライドルレザーを使用し、ステッチを黒で統一した真っ黒のベルトは、当店オリジナルの"anonym"。この腕時計が持つモードな魅力を一層際立たせるマッチングが可能となります。 »"anonym" OPEN-END LEATHER BELT (BRIDLE / ALL-BLACK) 搭載するムーブメントは、当時も今も高い技術と製造コストを要する角形モデル。特にこのCAL.240はユニバーサルの数少ない角形ムーブメントであるとともに、ごくわずかしか存在しない自社製のムーブメント。合理的な設計と肉厚な部品、エッジや側面まで抜かりなく磨き上げられた手仕事など、随所に質実剛健なクラフツマンシップが見て取れます。