純英国製の腕時計メーカーとして知られる〈スミス〉。その最晩年にリリースされたモデル「インペリアル」が入荷しています。 このモデルが最初に発表されたのは1958年。スミス伝統のキャリバー1215に大幅な改良を加え、19個の受け石を備えた新型ムーブメント、キャリバー0104を搭載したニューモデルとしてスミス・ファミリーに加わりました。 インペリアルも、デラックスに負けず劣らず様々なデザインを持つスミスの主力機でしたが、その時代性から比較的モダンな文字盤デザインのものが多く見られます。しかしこちらはその中でも数少ないクラシカルなデザイン性を持った個体。金無垢のケースは少し大振りながら、やや細身にシェイプされたアラビア全数字インデックスは、1930〜40年代にしばしば見られるアール・デコのデザイン様式を思わせるスタイルです。 特に印象的なのが、銛のような「かえし」が根元にあしらわれた異色のドーフィヌ針。力強さと気品を併せ持つ珍しい意匠です。また赤く彩られた菱形のモチーフを持ったセンター秒針は、光が差し込むと純白のホワイトダイヤルに紅色を落とす、この時代のスミスの腕時計に見られるアイコン的存在。 この腕時計が作られた当時、すでにスミスは陰りを見せる時代。むしろその初期を彷彿とさせる、上品かつ控えめなデザインへの回帰を図ったかのような腕時計。美しいシリンダースタイルの金無垢ケースは、スミスがその黎明期から長年採用し続けた〈デニソン〉社製。最高の組み合わせです。 スミス最晩年の力強い輝きとともに、消え行く憂いを内包した、そんな一本。 着用するベルトは、イタリアンレザーのひとつ「ドラーロ」を採用したadvintageオリジナル。ハリがありながらきめ細かい肌を持ち、使い込んでいくうちに艶が生まれ、美しいエイジングが楽しめるのが特徴です。
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